【株主優待はおすすめしない】アンチ株主優待論:株主優待について考える
株主優待とは、株式を保有することで受けられる特典のことです。
株主優待は、企業の業績や株価に関係なく、一定期間に一定数以上の株式を保有しているだけで受けられるため、多くの個人投資家に人気があります。
しかし、株主優待には様々な問題点も存在します。
本ブログでは、株主優待のメリットとデメリット、そして株主優待の是非について考えていきたいと思います。
テレビでも時々取り上げられて、それを見て株式投資に興味を持った人も多いんじゃないの❓
株主優待の人気は高まっているようね。
でも今回はその株主優待の問題点について考えてみるね。
別に株主優待投資自体を否定している訳では無いので安心して読んでね❢
株主優待のメリットから考えていく
株主優待とは、株式を保有している株主に対して、企業が特別なサービスや商品を提供する制度です。
株主優待には様々な種類がありますが、ここではそのメリットを3つに分けて紹介します。
1.株式の保有価値が高まる
株主優待を受けるには、一定期間以上株式を保有している必要があります。
そのため、株主優待を目的とする投資家は、長期的に株式を保有する傾向があります。
これは、株式の需給バランスを安定させ、株価の下落リスクを低減する効果があります。
また、株主優待の内容や金額によっては、配当利回りよりも高い利回りを得ることができる場合もあります。
2.企業との関係性が深まる
株主優待は、企業と株主とのコミュニケーションの一つの手段です。
企業は、自社の商品やサービスを株主に提供することで、自社の魅力や強みをアピールすることができます。
また、株主は、企業の商品やサービスを利用することで、企業の事業内容や経営方針に対する理解や信頼を深めることができます。
これは、企業と株主とのロイヤルティを高める効果があります。
3.生活に彩りが加わる
株主優待は、生活に彩りを加えることができます。
例えば、食品や飲料、化粧品などの日用品を受け取ることで、普段使わない商品を試す機会になったり、家計の節約になったりします。
また、旅行券やレジャー施設の割引券などの娯楽関連の優待を受け取ることで、趣味やレジャーを楽しむ機会になったり、心身のリフレッシュになったりします。
以上、株主優待のメリットを3つに分けて紹介しました。
筆者自身は、株主優待のメリットは無くはないと思っているのですが、問題点もあります。
次は株主優待がもたらす問題点について解説していきます。
株主優待が抱える問題点は
1.株主の平等原則に反する可能性がある
株主優待とは、株式会社が自社の株式を保有する株主に対して、配当金以外の形で利益を還元する制度です。
例えば、自社の商品やサービスの割引券や無料券、優待券などを株主に提供することがあります。
株主優待は、株主に対する感謝の気持ちや、株式の保有意欲を高めるためのインセンティブとして行われます。
しかし、株主優待には、株主の平等原則に反するという批判もあります。
株主の平等原則とは、同一の条件下にある株主に対しては同一の取扱いをしなければならないという法律上の原則です。
この原則は、株主間の不公平を防ぎ、株式市場の健全な発展を促すために重要なものです。
しかし、株主優待は、保有株数や保有期間などによって異なる内容や金額の利益を株主に与えることが多いため、同一条件下にある株主に対して同一の取扱いをしているとは言えません。
したがって、株主優待は、株主の平等原則に違反する可能性があります。
では、どうすれば株主優待と株主の平等原則との間にバランスを取ることができるでしょうか。
一つの方法は、株主優待の内容や金額を公開し、透明性を高めることです。
これにより、株主は自分が受ける利益や損失を把握しやすくなります。
また、他の株主と比較して不公平な取扱いを受けていないかどうかも判断しやすくなります。
もう一つの方法は、株主優待を配当金と同じように課税することです。
現在、日本では配当金は所得税や住民税などが課されますが、株主優待は非課税です。
これは、配当金と株主優待との間に税制上の差があることを意味します。
したがって、株主優待も配当金と同じように課税することで、両者の間の格差を縮小することができます。
筆者が株主優待を良しとしない一番の理由がこれです。
2.株主優待のコストが高い
株主優待は、企業にとっては費用として計上されます。
株主優待のコストが高くなると、利益や配当に影響を与える可能性があります。
また、株主優待のコストが透明性に欠ける場合もあります。
例えば、自社の商品やサービスを提供する場合、その価値や原価をどのように評価するかが明確でない場合があります。
3.株主優待の効果が不確実
株主優待は、株主にとっては魅力的な制度ですが、その効果は必ずしも確実ではありません。
株主優待は、株価や配当と比較して小さな金額であることが多く、株主の投資判断に大きな影響を与えるとは限りません。
また、株主優待は、企業の業績や経営戦略と関係が薄いこともあります。
例えば、自社の商品やサービスを提供する場合、その品質や競争力が低い場合があります。
4.株主優待の管理が複雑
株主優待は、企業にとっては管理や運営に手間やコストがかかります。
例えば、株主優待の対象者や内容を決めるためには、保有状況や希望内容を把握する必要があります。
また、株主優待の提供方法や時期も検討する必要があります。
さらに、株主優待の実施状況や効果を評価する必要もあります。
5.株主優待の規制が不十分
株主優待は、法律や会計基準などで規制されている部分もありますが、その範囲や内容は不十分です。
例えば、株主優待のコストや効果をどのように開示するかについては明確な基準がありません。
また、株主優待の内容や提供方法についても自由度が高く、不適切な場合もあります。
個別で保有される方以外にも影響があります
インデックス・ファンドを利用されている方は損が発生している可能性が高い
楽天証券の元経済研究客員研究員である山崎元氏は、アンチ株主優待の理由として以下のように述べられています。
筆者が、株主優待に対して「アンチ」である主な理由は、株主優待が機関投資家にとって不都合で何らかのロスが生じる仕組みだからだ。
写真は、国家公務員の年金を運用する国家公務員共済組合連合会の「平成29年度 業務概況書」の52ページにある記述だ。
国家公務員共済組合連合会は国家公務員の年金を運用しているが、年金資産による投資を通じて保有する株式から生じる株主優待券は、資産を管理する信託銀行によって、チケットの買い取り屋などに持ち込み換金して、ファンド資産に繰り入れたり、換金できないものについては、寄付をしたり、といった処理が行われる。前者では買い取りなどの際にコストが発生するし、後者では寄付の行為が感謝されるとしても、年金資産の運用としては明らかな無駄が発生する。
こうした機関投資家にとっての株主優待の不都合は、大半の外国人投資家にとっても発生するし、インデックス・ファンドなどを含む投資信託の投資家にとっても発生しているはずなのだ。
「投信投資家の皆さんは、株主優待があることで損をしています」ということは、この際申し上げておきたい。
株主優待は、これが有益な株主と、そうではない株主とを発生させる。株主を平等に扱わない点が、株主優待の最大の問題点であると筆者は考える。
※トウシル 誰が得する?敢えて述べる、「アンチ株主優待」論より引用
さすが山崎元さんという感じと、勉強になる文言で溢れています。
日経平均のインデックスファンドに投資している際の、株主優待の運用がどのように行われているのか?
寄附自体は素晴らしい事だけど、株式投資の運用で得た利益を寄附される事を投資家の皆さんは受け入れるだろうか。
疑問点は残るばかりですね^^;
投資家自身が、投資によって得た利益を寄附される事については、何も問題はありませんが、ファンドがこういう事を行わざるを得ない制度自体には筆者自身も不満に思います。
投資初心者にわかりやすくて、入門書として最適ですね❢
株主優待と感情論
株主優待は、株式投資の動機の一つとなっており、個人投資家に人気が高いです。
しかし、株主優待には、感情論の問題があります。
感情論とは、株主優待の内容や価値によって、株式の評価や売買判断が左右されることを指します。
感情論の問題は、以下のような点で現れます。
①株主優待は、配当とは異なり、保有株式数に比例しない。
そのため、小口株主にとって有利な制度となっています。
しかし、小口株主は、株主優待の価値を過大に見積もりがちです。
株主優待の価値は、市場価格や税金などを考慮した上で判断する必要があります。
②株主優待は、企業の事業内容や製品・サービスを知ってもらう機会となる。
しかし、株主優待によって事業内容や製品・サービスに好感を持った場合、それが株式の評価に影響する可能性があります。
事業内容や製品・サービスの好みは、個人的な感情であり、企業の収益性や成長性とは必ずしも関係しません。
③株主優待は、企業のペイアウト戦略の一つです。。
しかし、株主優待によってペイアウト比率が低下する場合があります。
ペイアウト比率は、企業が利益をどれだけ還元しているかを示す指標であり、高いほど好ましいとされます。
株主優待によってペイアウト比率が低下すると、配当重視の投資家や海外投資家からの評価が下がる可能性があります。
以上のように、株主優待には感情論の問題があります。
株主優待は、企業と株主との関係を深める有効な手段であるが、それだけで株式の評価や売買判断をするべきではないですね。
株主優待を受け取ったり利用したりする際には、冷静な目で企業の実力や将来性を見極めることが重要です。
まとめ
株主優待のみを狙った投資は危険です
いかがだったでしょうか。
今回はアンチ株主優待論を、筆者なりに考えてみました。
筆者的には株主優待に関しては、なんらかの法的な整備が必要に感じますね。
筆者のような全世界インデックス投資家が、最適解と考えて投資している投資家にとって、妙味がありません。
やはり株主の平等原則に従って、基本的なルールを整備して頂きたいと思っています。
今回も皆様のお役に立てたら幸いです!
次回も役立つ情報を発信出来るように頑張りますのでよろしくお願いいたしますm(__)m
以上!