払わなくていい!? 賃貸物件退去時費用、出来るだけ安く済ませる方法!
賃貸物件のトラブルで多いのが退去費用。
退去時の立会いとかで不動産仲介業者さんが「ここは直してもらわないと」とか言われると、賃貸物件退去の際に「そうなのかなぁ」と思って、本来払う必要のない料金を請求される事はある。
今回は賃貸物件退去時に知っておいた方がいいと思われる事について紹介していく。
その時は何も思わなかったけど、知っていれば払わずに済んだものもあったかもしれないね。
退去費用が1円でも安く済むように、知識をしっかりつけていこう❢
退去費用でトラブル
退去する人と、立ち合い業者の間に認識の違いが!
まず最初に言っておきたいのは、全ての不動産業者が悪質と言ってるわけではなくて、良心的な業者もたくさんいらっしゃる。だけど、そこそこ悪質な業者もいるので、注意しておきたい。という事です。
退去する時、自分が(または同居人)汚したしまった部分や傷みなどを元に戻す費用の事を「原状回復費用」っていうんだけど、この「原状回復費用」についてのトラブルが多い。
独立行政法人 国民生活センターにも賃貸物件退去時のトラブルが多く寄せられている。
・10年以上住んだ賃貸アパートを退去したらクロスの張替えなど高額な原状回復費を請求された。全額支払う必要があるのか。
・6カ月居住した賃貸アパートを退去した。玄関の壁紙のわずかな傷で全面の張替え費用を請求され不満だ。
・管理会社の了解を得て賃貸マンションの光回線工事をしたが、退去時に、工事は許可していないと言われ、原状回復費用を請求された。
・賃貸マンションを退去したところ、高額なハウスクリーニング代を請求された。納得できない。
・4年前に契約した賃貸マンションを退去したが、契約当時に提出した現状確認書を管理会社が紛失し、入居時についていた傷まで含めた修復費用を請求された。
↑独立行政法人 国民生活センター 賃貸住宅の敷金・原状回復トラブルより一部抜粋
こういったトラブルは現在進行形で起こっている。
どうしてこういったトラブルが起こってしまうのか?
それは長年培われてきた不動産業界における慣習と、退去される方との知識の差である。(全ての業者ではない)
不動産仲介業者というのは家主さんと借り手(私たち)の間に入って交渉事を進めてくれる立場で、当たり前だが仲介業者や家主さんは出来るだけ退去時の修繕費用を、退去者に負担してもらいたいと考える。
これに対して退去者は「1円でも安く退去したい」と考えるのが普通であり、その意識の差がトラブルを生む。
今でこそインターネットが普及して、こういったトラブルについて調べようと思えば調べる方法はたくさんある。
だけど、昭和から平成の初期位まではインターネットも今ほど普及しておらず、堀江貴文氏がいう所の「情報の民主化」が進んでいなかったので「知る人ぞ知る」構造になっていた為、言いくるめやすい環境だった。
なので本来なら負担する必要のない費用を請求されたとしても「仕方ないなぁ」と負担してきた。
現在はそういった情報にネットを通じて誰でもアクセス出来るようになってきたので、知るべき知識は知っておいて、余計な負担はせずに済むようにしよう!
退去時の費用は正しい知識で余計な負担をしない為に!
そもそも原状回復費用とは、新品の状態に戻す事ではないのである
退去時の原状回復費用の負担について借主は、劣化したもの全てを負担する訳ではない。
経年劣化や通常の使用によって生じる損耗については、借主は原状回復の責任は負わない。
という事。
つまり、普通に生活していく上で劣化、汚れたものについて借主がすべて負担する訳ではない。
これは当ブログで勝手に言っている訳ではなく「国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にしっかりと示されている。
また、この「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は民間賃貸住宅を想定して作成されており、契約書の条文があいまいな場合や、なんらかの問題があるような場合は、このガイドラインを参考にしながら話し合いをして下さい。と国土交通省のページに記載されており、国が推奨のルールなのだ。
しかしながら、原状回復費用として例えば、クロスの張替えとして新品の費用負担を求められるなんてことはザラにある。
なのでまずは原状回復費用とは、新品に交換する料金を負担する訳ではない事を覚えておこう。
経過年数により、部材別に年数の基準がある!
実は賃貸物件には「減価償却資産の耐用年数に関する省令」により耐用年数というのが定められている。
どういう事かというと、3年住んでいたアパートを退去する時に、壁紙が交換しなければならない位汚れてしまった場合、壁紙の交換費用に2万円かかってしまったとする。
ここで「しょうがないかぁ」とならずにしっかりと原状回復のガイドラインをチェックしてみると、壁紙の耐用年数は6年と決まっているので3年住んでいる事を考慮すると
3年÷耐用年数6年=50%(残存価格)
という計算が成り立つので退去者の負担額は50%の 2万円×50%=1万円 となる。
つまり、退去者の責任において負担する額は耐用年数を勘案すると1万円が妥当な負担額。
これは是非とも覚えておいてもらうと良いと思います。
その他にも部材別にザックリと耐用年数が国税庁から示されておりザックリ表にすると
部材 | 耐用年数 | 部材 | 多用年数 |
壁紙、カーペット | 6年 | 洗面台の給排水設備 | 15年 |
カーテン等の繊維部材 | 3年 | トイレの便座 | 8年 |
シンク(流し台) | 5年 | 金属製の器具や備品 | 15年 |
トイレの給排水設備 | 15年 | エアコン・インターホン | 6年 |
金属製以外の家具(タンス等) | 8年 | 網戸本体 | 15年 |
網戸破れ | 8年 | クッションフロア | 6年 |
↑こんな感じになる。
基本的にこれらは目安であって、耐用年数を超えていたとしても、継続使用が可能な場合、借主の故意や過失により破損した場合は、原状回復費用を負担しないといけない場合はある。(だけど全額ではない)
この事を知っているだけでも、新品への交換費用を請求された時は、言い返すことが出来る根拠(材料)になるので覚えておいて損はないはず。
もし、法外な退去費用を請求された時は、正当に意見を主張して欲しい。
加入している火災保険が利用できる場合がある
賃貸物件を契約する時に、必ず火災保険への加入が義務付けられていると思うけど、加入している火災保険によっては、借り手の過失による破損であっても保障してくれる場合がある。
もちろん全ての火災保険が保障してくれるわけではないけど『借家人賠償責任補償』とか『個人賠償責任補償』がついている火災保険なら保障の対象になる。(保険会社に確認してみないとわからない部分はあるけどね)
借家人賠償責任補償→偶然の事故で損害を与えてしまった時、部屋の持ち主である大家さんに対する損害を賠償するという事。借家人賠償保険で補償されるのは「火災・破裂・爆発・水濡れ」などを起こした時で、それ以外の場合や故意の事故は保障されない。
個人賠償責任補償→個人が日常生活で他人に対して損害を与えたときに損害賠償するもの。日常生活のなかで自分のうっかりしやってしまった事で他人に迷惑をかけたときの為の保障。
↑参考 価格.com 保険「借家人賠償ってなに? なぜ家を借りるときには保険に入らないといけないの?」より一部抜粋
ただ、退去時の見積もりに対して「これを保険で!」という事には使えないのが一般的なので、傷を付けてしまったり、何かを破損してしまったりした場合は速やかに家主さん+保険会社に報告しておこう。
退去時になって「3年前に傷つけてしまったんです」と、訴えたとしても保険会社からしたら「今言われても知らんがな!」という事になってしまわないようにね。
退去費用負担を賃貸契約書の特約を理由に負担を求められても、具体的な金額が記入されているかチェック!
退去すると決めたら賃貸契約書をしっかりと確認しておこう。
通常の契約では原状回復費用は、上の方で紹介した通り「通常損耗や経年劣化による修理費用」は家主さんの負担になるけど、特約として「通常損耗や経年変化の修理費用は、入居者が負担とする。」と付け加えられている場合がある。
こういった特約については過去に最高裁判所の判例が出ており
1 賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負うためには,賃借人が補修費用を負担することになる上記損耗の範囲につき,賃貸借契約書自体に具体的に明記されているか,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識して,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約が明確に合意されていることが必要である。
2 建物賃貸借契約書の原状回復に関する条項には,賃借人が補修費用を負担することになる賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗の範囲が具体的に明記されておらず,同条項において引用する修繕費負担区分表の賃借人が補修費用を負担する補修対象部分の記載は,上記損耗を含む趣旨であることが一義的に明白であるとはいえず,賃貸人が行った入居説明会における原状回復に関する説明でも,上記の範囲を明らかにする説明はなかったという事情の下においては,賃借人が上記損耗について原状回復義務を負う旨の特約が成立しているとはいえない。
これは平成17年12月16日に判決か下された敷金返還請求事件の裁判要旨のざっくりとした内容だが、しっかりと読んで頂くと特約の有効性について示されている。
ご自身の賃貸契約書のチェックポイントは大きく2つある。
①賃貸借契約書自体に具体的な金額が示されている事。
②不動産仲介業者や家主さんに、入居に関する説明において、原状回復に関する説明を口頭により受けており、しっかりと合意の上で契約している事。
↑上記の2点を満たして初めてその特約は有効である、という事が最高裁判所の判例により示された。
なので①具体的な金額が記載されているか?②しっかりと説明を受けて契約書に押印しているか?といった点を見ておこう。
賃貸借契約書の【特約】の部分に
下記の通常損耗や経年劣化による修理費用は入居者の負担とする。
①退去後の物件全体のクリーニング費用 25,000円
②鍵の交換代金 15,000円
③シンク、トイレの消毒費用 15,000円
のように具体的な金額と部材を指定しており、それを納得の上で入居時に押印しているかどうか?
この辺りが特約事項の有効性が問われる部分なので確認するべきである。
仮に具体的な金額も示されておらず「通常損耗や経年変化の修理費用は、入居者が負担とする。」といった抽象的な書き方であり、署名押印がされていなかった場合は「特約自体が無効」の状態なので、退去時にはしっかりと主張しておこう。
万が一強面の方に来られた場合なんかは怖くて言いにくい事もあるので、出来るだけメールで交渉しておこう。
メールだと証拠として、しっかりと残るし一石二鳥だね!
退去の際の段取りを確認!
賃貸借契約書を見て解約を告げるタイミングを確認する!
賃貸契約で仲介会社や家主さんによって変わってくるけど、解約を告げるのはいつまでにするべきなのかを把握する。
1ヶ月以上前には連絡する。っていうのが殆どなんだけど、まれに2カ月以上前に連絡するように書かれている場合もある。
1日でも連絡が遅れたら、場合によっては1ヶ月分の家賃を請求される可能性もあるのでしっかりと確認しておこう。
解約を申し出るまでの間に借りている物件の傷を把握する。火災保険で直せるところは直しておく!
本来だったら傷をつけてしまった時点で家主さんなり、火災保険の会社なりに連絡しておくべきなんだけど、退去する事が決まってから傷や破損を発見してしまったら火災保険で修繕可能かどうかを保険会社に確認してみよう。
退去時、火災保険は確実に利用する事は出来ないので、退去を告げる前に保険会社に確認を行う。
保険の範囲内で修理できるところは全部修理してもらったら次の段階へ進もう。
解約を告げる
ここまで来たら解約を告げる段階になる。
解約する際に解約通知書(退去届)を提出することになる。(管理会社や家主さんによって口頭のみで話が進む場合もある)
解約通知書(退去届)って言われても、どう書いていいかわからないって方はざっくりと
項目 | 内容 |
契約者 | 氏名・電話番号 |
物件 | 住所・○○マンション○○○号室 |
記入・提出日 | 記入日・提出日を書く |
解約日 | 賃貸借契約書に基づく退去予定日を書く。
一般的には1カ月以上先だが、契約内容により異なるので確認しておく。(まれに2カ月以上先の場合もある) |
転居先 | 引越し先の住所。電話番号を記載。 |
返金分の振込口座 | 敷金や家賃を日割り計算で返金してくれる場合に振り込んで欲しい口座。 |
退去の立ち合い | 今後の交渉はメールで行い、退去時の立会いはしない旨を書く。 |
退去費用について | 国土交通省の原状回復をめぐるガイドラインに沿うようお願いする。 |
特約 | 具体的な金額や、賃貸借契約書に署名・押印が無い場合は「特約は無効」である旨を告げる。 |
上記にプラスして、入居時からあった傷等をスマホのカメラ辺りで撮影していたなら、入居時時点でついていた傷についても主張しておこう。
退去の立会いについては、絶対に立ち合いしない方が良いという訳ではないけど、一人暮らしの方なんかで強面の人が立ち合いに来て、こちら側に不利な条件での見積もりを作成されて、その場でサインさせられる事もあるので、立ち合いをするのなら十分な注意が必要。
1人で立ち合いするのはお勧めしないので、立ち合いは行わない旨を解約通知書(退去届)に記載しておこう。
引越し先へ荷物を運ぶ!
解約通知書(退去届)を送ったのなら、次の住まいへの引っ越し準備。
次の物件でも注意すべき部分があるので、よかったら↓の記事をどぞ!
引越しに関しても、大手の引越し業者にお願いするか、地域の引越し業者にお願いするか等、いくつか見積もりをとって出来るだけ満足の行く条件で契約する事。
一括見積サイトでおすすめなのは引越し侍という引越し業者一括見積サイト。
大手、地域の見積もりがとれるので良いサイトですね。
綺麗に掃除をして鍵を返却する
これで物件の中は空っぽ状態になったはずだけど、ここから掃除に入る。
ホウキ、ちりとり、バケツ、雑巾を用意して綺麗にお掃除。
ここで綺麗にしておくかしておかないかで、原状回復チェック時の管理会社や家主さんの印象は大きく変わる。
主張するべきは主張するけど、借りていた方もしっかりと迷惑をかけない程度には清掃しておこう。
鍵を返却。請求書を確認
解約通知書(退去届)を提出し、引越し、清掃まで済んだのならあとは鍵を返却すれば退去完了。
退去時の立会いをしない場合は郵送で鍵を返却しよう。
その後、しばらくして清算金が発生しない場合はそのまま解約手続きは完了という事になるけど、解約清算書が届いた場合は中身をしっかりとチェックしよう。
解約清算書の各項目をチェックして、国土交通省原状回復におけるガイドラインに沿った内容であるかを確認。
各項目で残存価値の請求になっているのか?(新品への交換価格になっていないか)
家主さんと借り手の負担の割合は記載されているのか?
その他国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿った内容になっているか?
正しいと納得されたら、費用を支払い(または敷金から引いてもらう)解約を完了させよう。
項目に納得できない場合は、メールで納得のいかない項目と納得が行かない根拠のある理由を示して、交渉していこう。
全てに納得されたら解約終了です。
お疲れさまでした!
まとめ!
正しい知識を持って、トラブルを防ごう!
いかがだったでしょうか。
今回は賃貸物件退去費用を出来るだけ安く済ませる方法を紹介してきました。
正しい知識を持って交渉すれば、防げる出費はたくさんありますね。
物件を借りる時と出る時は同時に起こる事が普通なので、両方の知識を付ける事でかなり費用負担は軽くなる!
という事です。
余計な負担をする位なら美味しいものを食べたり、旅行に行く費用に充てたりして充実した人生を送るべきですね(^^♪
今回も皆様のお役に立てたら幸いです!
次回も役立つ情報を発信出来るように頑張りますので、よろしくお願いいたします!
以上!